2009年02月09日

変分法 ―変分問題からオイラー方程式まで

原点O(0,0)を出発し、点P(x, y)に至る最短の経路は何だろう。

…まあ普通に考えて直線なんだけど、直線かどうかはひとまずおいておく(たとえば座標の中に「動きにくい場所」 とかあったらそこをある程度避けるほうが効率的になる。このときは「最短経路」は時間にかかわったものになる)。

目的とするのはxとyを結びつけるような関数y(x)を求めることだ。

とりあえず経路を微小素片dsに分割する。そうすると、最短経路というのはこの微小素片dsの合計、 すなわち積分が最小となるようなものだ。dsの積分、つまり経路長をIとし、数式で表現すると次のようになる。

20090208eq01

ここでdsの進み方はわからないとして(もちろんy=axという一次式なんだけど)、たとえばx, y, y'(=dy/dx)という3つの値で決定されるf(x, y, y')という関数で表現できるものとしてみる。 なぜyについて1階の微分までしか含めないかというと、座標と速度さえ与えればその場に働く力などによってより高次の微分、 つまり加速度やその微分量などは自動的に決定してしまうからだ。座標だけでは不十分。なぜなら、 同じ座標でも質点はさまざまの速度を持つことができるから。

まあ細かいことはおいておいて、今のf(x, y, y')を利用して式(1)を変形する。式がx軸方向へdx進むとすれば、 その間に微小素片dsはf(x, y, y')dxだけ進む。これにより積分変数をsからxに置き換えて次式を得る。

20090208eq03

繰り返しになるけど、この積分を最小にするような関数y(x)を求めるのが目的だ。これは変分問題と呼ばれる。

ここで、そのような関数y0がわかってしまったとする。そしてy0に「小さな関数」 δyを足し、OとPを結ぶ新しい関数yを作る。この「小さな関数」は関数yの「変分」という。

20090208eq04

δyというのはyにδという微小量がかかっているわけではないことに注意。δyという2文字で1つの関数を表現し、 これは関数y0からのy軸方向の距離をあらわしており、その形は任意である。 (3)におけるy式はy0式と同様に点Oと点Pを通らなければならないので、 式δyは次の境界条件を満たしている必要がある。

20090208eq05

ここでyにδyを足したときの増加量をδIとし、次式を得る。

20090208eq06

このとき、2つの積分の差はy方向への微小な増分、y'方向への微小な増分それぞれの多項式だが、 もしも変分δyが十分に小さな関数ならば、それはyとy'についての一次式で近似される(cf. 全微分)。そして合計の増分は両者の和であるので次式を得る。

20090208eq07

ここで右辺の第二項のみ部分積分する。δy' = d(δy)/dxであることを利用する。

20090208eq08

このとき式(4)の条件から右辺第一項は0になる。

積分Iが最小になるということはδyをどのような方向への関数ととっても積分Iが必ず増加するという意味であり (通常の微分における極小値と同様)、これは積分Iの増加量δIに対する式yの増加量δyの比が0となるということに等しい。

20090208eq11

このとき右辺の分母は0でなければならないが、δyが任意であるため、それにかかる括弧の中身がいたるところで0となる必要がある。

20090208eq12

こうして微分方程式が得られた。Iを最小にする関数を求めることは、この微分方程式を解くということとなる。

変分法における式(9)はオイラー方程式と呼ばれる。

話を物理に移すと、力学系において運動は時刻と位置、加速度からなるある関数f(t, x, x')をt=0からt=tまで積分した際にそれを最小とするように起こる。「ある関数」というのは単に経路だったり、仕事量だったり、 屈折率だったり、場合によりけりだがこれの積分をまとめて「作用」とよび、作用が最小になるというこの原理を最小作用の原理 (またはハミルトンの原理)と呼ぶ。そして最小作用における関数f(t, x, x')は普通大文字のLで表し、ラグランジアンと呼ぶ。 またオイラー方程式はラグランジュ方程式と呼ばれる。

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変分はいわば「関数の関数」の微分。理解のポイントは微分、偏微分、全微分、 部分積分といったモノをしっかり把握してるかどうかですね。

そのあたりがあいまいなまま「力学・場の理論」の文庫を買って最初の数ページから数年積読になってた。何事も基礎が大事。 独学だったんでどこが基礎なのか分からなかったというのもあるんだけど。

なんか思ったより疲れてしまったのでオイラー方程式を使って最初の問題を解くのは次の機会に。

参考

posted by Rion778 at 01:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 勉強ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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