2009年02月23日

ディラックのデルタ関数

ディラックのデルタ関数(δ関数)の定義の仕方はいくつかあるらしいけど、たとえば次のように定義できる。

20090222eq01

基本的に0だけど、x=0の点を含む積分では1になる。積分範囲は0から任意の実数ε (0とほとんど同じくらい小さくても、無限大でもいい)だけ離れた範囲。x=0の点で無限大の値を持つ、 というような表現がされることもある。

本来積分を含めてしか性質が現れてこなくて、そういう意味で「超関数」とか呼ばれてる(多分)のだけれど、 無理やりグラフにするとたとえばこんな感じ 。

Delta

εはすっごい小さい数で、とりあえず形は正規分布になってる。正規分布において平均=0、 分散→0の極限をデルタ関数として定義することもできるらしい。

まあとにかく、デルタ関数は普通0を中心に対称な、偶関数として定義される。よって、 偶関数として定義されたなら、という条件付で

20090222eq02

とりあえずここまで定義。以下特徴の説明。デルタ関数が導入されるときによく説明される「性質」をいくつか。

それで、今の図において−ε〜εの範囲で線の下の面積が1なんだから、−ε〜0、 0〜εの範囲に含まれる面積は1/2じゃないといけないだろう。よって、定義から導かれる性質の1つ目。

20090222eq03

これ以上特に説明も不要だろうから次へ。

性質の2つ目。

20090222eq04

任意の関数f(x)とδ(x-a)(この場合デルタ関数はx=aにおいて値を持つ)の積を積分する(区間はx=aを含む)と、 x=aにおけるf(x)の値が得られる、ということを言っている。 これは次のように説明できるだろうと思う(表現として正確じゃないかも)。

20090222eq05

積分範囲をx=aから±εの範囲とする。εは任意の数なので、非常に狭い区間を考えるとf(x)→f(a)。 右辺δ(0)×dxという部分は、リーマン和の一切れだとイメージしてほしい。 縦×横で面積が出てくるということを言っている。縦がδ(0)、横がdx。それで、デルタ関数の下の部分の面積というのは1だったから、 結局f(a)が残る。

次、性質の3つ目。

20090222eq06

「中」をa倍するのは、「外」から1/|a|倍したのと同じこと、ということを言っている。 これは次のように証明する。

まず、δ(y)というものを考えると、定義より∫δ(y) dy = 1。ここで積分変数をyからaxへ変更する。置換積分だ。

dy/dx = aなのでdy=a×dx。よって次式が得られる。

20090222eq07

2段目の=の後は変換ではなくて単に等しいということを言っているだけ。定義から積分の結果はどっちも1になるので。それで、 式(7)の後半2つを使うと次が得られる。

20090222eq08

一段目は式(7)をaで割っただけ。2段目は両辺をdxで微分している。積分して微分したら元に戻るので単純に積分記号をはずすだけ。

しかしaを-aとおいて式(8)まで誘導すると1/aが-1/aとなってしまう。

ここで最初の定義(2)を思い出すと、偶関数なのでδ(ax) = δ(-ax)。よって、aを-aとして計算した場合では、 式(7)の時点で得られる -a∫δ(-ax)dx積分の中身が必ず正となるため、 a < 0である必要性が生じる。逆に言えば、 a < 0であるとき、 式(7)の時点でaの前に-をつけなければならない

よって-aからはじめて式(8)の時点で得られる-1/aという値は非負でなければならない

なので式(6)のように絶対値記号のついた表現となっている。

次。性質その4。

20090222eq09

性質3の拡張なのだけれど、axをいきなりf(x)としているから分かりにくい。aiという定数が右辺に含まれるが、 これは関数f(x)の実根である。つまり、f(ai) = 0となるような値。

ちなみにf(x)は任意の関数というわけには行かない。右辺でゼロ割りが生ずる危険性があるので、 f(x)はf'(a)≠0という制限がつく。これは結構厳しい制限だ。 x軸と平行に交わる関数はすべてだめなのだから。たとえばx^2という単純な関数を考えるとその根は0、 導関数は2xなので、f'(a) = f'(0) = 2*0 = 0となってしまうために式(9)は適用できない。

さて、式(9)は根が複数あるような関数を想定しているが、とりあえずひとつからはじめよう。

20090222eq10_13

まず式(10)は部分積分。yをf(x)とおいて積分変数をxへ変更している。

次、この積分が非0となるのはデルタ関数の中身が0となる点を含む区間においてのみであるから、 f(x)が0となるようなx、 つまり実根aから±εに積分範囲を限る。この操作を表しているのが式(11)。

εは任意の実数なのでいくらでも小さくとることができる。εを十分小さくとったとき、 f'(a±ε)をf'(a)という定数で近似できる。 定数は積分記号の外へ括りだせる、 ということを言っているのが式(12)。

式(13)は式(7)のときと同じで変換ではなく、単に等しいということを言っている。式(11)で積分範囲をa±εに限ったので、 xがそのような区間しか動けなかったとしてもちゃんと値が1になるようにしなければならない。 そのためにδ(x)ではなくδ(x-a)としている。式(13)の積分範囲はa±εより広ければ無限大でもいい。 ちょっとずれてるだけで基本のデルタ関数だ。

それで、式(12)と式(13)から次が得られる。

20090222eq14

そして、実根が複数ある場合を考えると、 どの実根を含む範囲においても式(14)が成立する必要がある。 これを表現するにはすべての場合を単純に足し合わせればよく、したがって次式が得られる。

20090222eq15

そして、式(6)で絶対値記号をつけたのと同様の議論をすることにより、やはり絶対値記号つきの式(9)が得られる。

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教科書なんか見てると四つ目の性質、もしくはそれに類似する「性質」や「特徴」の説明って結構証明なしに与えられることが多い。 もしくは証明することが課題になってたりして。しかしΣと絶対値記号が突然出てくるのは結構ビビる。混乱する。

そんなのちょっと考えればすぐに解決できる程度のレベルの人間を想定してるのか、 あるいはいい先生に教えてもらうのが普通なのかは分からない。

でも式(9)の形の変換ってグリーン関数とか使う場合に出てくる気がする (伝熱関係の論文で見たことある気がするだけで使ったことはないんだけど)ので、ちゃんと把握している必要がある事項だと思う。

ここに躓いたのいつだっけか。確か半年くらい前。そのときは何が道具として必要なのかの見当がつけられずにあきらめたけど、 結局は置換積分と「εをすっごい小さくする!」という微積分によくある操作だった。

やっぱ基礎だな。基礎を徹底的に固めないといけない。誰か固めるべき基礎をリストアップしてくれ。

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参考文献

posted by Rion778 at 01:38 | Comment(2) | TrackBack(0) | 勉強ノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
(5)の解釈の仕方が分からず色々検索してたらここに来ました。
お陰さまでイメージができました。
ありがとうございました。
Posted by 通りすがりの大学生 at 2009年06月02日 19:52
わかりやすっ!
Posted by 通りすがりの高校生 at 2011年12月22日 21:48
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