2008年05月08日

格子法による根長の算出

格子法でググっても流体力学の手法ばかりでてくるが,ここで紹介するのは植物の根の長さを計算するための手法.

間隔がわかっている方眼紙の上に植物の根を置いて,方眼の線と植物の根の「交点」をカウントすることで根の長さが推定できるという方法.

方眼の間隔がxとしよう.方眼の格子と根の交点がN個ならば総根長Rは次式で推算可能である.

導出に興味がなければおとなしくこの式を受け入れてもらえばいい.おとなしく受け入れる気がないという方は以下へどうぞ.

この方法は当初は線交差法という格子を用いない方法として考案された(Newman, 1966).線交差法においては,ランダムに配置した直線と根が交差する確率より根長を推定する.

上の図において,直線PQが根(ただし長さΔRは直線とみなせる程度に短い)であり,それに直線MNが交差している.このとき,PQとMNが交わるためには,少なくともPQの中心Dが直線MNから距離ΔR/2の範囲(点線で示した)のうちに存在している必要がある.ここで,PQ<<MNだとすれば,「直線MNから距離ΔR/2の範囲」というのは

である.

直線PQと直線MNが面積Aのうちに存在しているとしよう.このとき,(ΔR)hの範囲内にDが含まれる確率は

である.

次に,Dが(ΔR)hの範囲内にあるとき,直線PQと直線MNが交差する確率を求めよう.

直線PQと直線MNが交差するためには,Dから直線MNまでの最短距離が1/2ΔR|sinθ|よりも小さい必要がある.θは直線PQと直線MNのなす角である.

Dは直線MNから1/2ΔRの範囲を動くので,いま求めたい確率は,

で与えられる.

よって,「(ΔR)hの範囲内にDが含まれ」かつ「直線PQと直線MNが交差する」確率pは

である.交点の個数はすなわちこの確率の与える期待値であるので,θの1回転分,つまり0〜2πまでこの確率を積分し,2πで割る.

ところで,全根長Rは直線とみなせるようなΔRのつながったものとみなせる.よって

以上より,全根長Rは

により与えられる.なお,Hはすべての直線の合計長さである.

ところで,別に直線の方はランダムに置かないでも格子状に置けばいいんじゃね?精度も上がるよ,と提案した人がいた(Marsh, 1971).

そこで,たとえば間隔がxの格子を考えてみると,面積とそれに含まれる直線の長さの関係はx^2:2xとなる(実際に方眼紙を使って確認を!).そこで,これを先の式に代入すると,

である.で,ここでπ/4を計算してしまうと,

が得られるわけである.

ちなみにこの方法はNewmanと言う人が考案し,Marshと言う人が格子を使うことを提案し,Tennant(1975)という人によって有効だということが確認されたそうだ.

参考文献

  • 安部 淳,森田茂紀. 2004. 根の形態と機能に関する学生実験プログラム. 根の研究 13(2): 61-65
  • Marsh B. a'B. 1971. Measurement of length in random arrangements of lines. Journal of Applied Ecology 8:265-267.
  • Newman E.I. 1966. A method of estimating the total length of root in a sample. Journal of Applied Ecology 3:139-145.
  • Tennant D. 1975. A test of a modified line intersect method of estimating root length. Journal of Ecology 63: 995-1001.
posted by Rion778 at 22:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | PC関連。HTMLとか,Linuxとか,Rとか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この式を用いた画像からの総根長を測定できるフリーソフトがあったので、紹介します。
SimpleDigitizer
http://www.agbi.tsukuba.ac.jp/~fujimaki/download/index.html
Posted by at 2009年01月30日 12:27
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